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記憶の中のたべもの

ゆるやかな坂の下に

すずやはあった

店の日除けには緑の地に白抜きですずやとしか書いていない

建物の2階は住居として

1階は店舗として使われ

おばあさんが独りで切り盛りしていた

小さな頃の記憶をたどると

100円玉を握りしめ店に行き

持ち帰って食べていた

持ち帰る際は半分に折り畳まれ

簡単な容器に入れられ新聞紙に包まれていた

薄い生地にソースのかかった食べ物だ

それは日常の中にあるごく当たり前のものだった

小さな小さな町には

それを出すところが

すずやしかなかった

しかし

いつ頃だろうか

そのソースのかかったものに

お好み焼という名前があることを知った

なぜその事を発見したのか

はっきりとしたきっかけは思い出せないが

おそらく同じ様なものを隣の町で食べたときに

お好み焼と看板に書かれていたのか

その時から

薄い生地の食べ物をお好み焼と認識した

さらに

テレビや雑誌の知識から

お好み焼なるものが

この街のこの地域の独自のものだと判明した

今やこのお好み焼はこの地域を代表する食べ物である

生地にたまご、野菜、麺、その他季節の食材がのせられる

その姿は堂々としたものである

値段も立派だ

昔の記憶の中の畳んで新聞紙に包まれた食べ物とは別物である


追記

高校を卒業して関西に住んでいた私には

そのお好み焼がある種の心の支えになっていたと思う


by su-udon-otoko | 2017-09-23 09:47 | つれづれに